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HN:
ジュナー1号&2号
性別:
非公開
自己紹介:
【2号】
殉教者。
マンガとアニメが好物。
「三次元の女には興味ありません」と強がる。
小さい子が好みであることは誇り
活動資金をどうするかが悩み


【1号】
変人。
創作、編集。
2ちゃんねるスレッドまとめはリンク先のブログに移転しました。


御意見等ありましたらこちらまで
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どうもどうもどうも2号ですお。
少し遅れましたが完成いたしました。

次回は5月下旬を予定しております。

第1筆はこっちっら

ではどうぞ~

第16筆


「ん~、もう朝か…」
机に突っ伏したままいつの間にか寝てしまったらしい。
妙な体勢で寝たおかげで体の節々が痛い。
後ろを見ると、俺の寝床は小さなお姫様に占拠されている。
寝た気がしない俺は憂さ晴らしに彼女を起こすことにした。
俺にとってはそうでもないが、普通の子供が起きるにはまだ早い時間だ。
「姫様や、起きてくだされ」
罰ゲームの設定を続け、いつもすずを起こすように布団ごと揺する。
「う~む、もう少し…」
案の定、すずと同じような反応が返ってくる。
もっと頭を使ってはもらえないだろうか。
「起きろっての」
これまたすずと同じように、俺は布団を引き剥がした。

「ん、おにーちゃん…」
そう呟き、紫が抱きつく。
「って、お…おおおい?!」
想定外の行動に俺はただ硬直することしかできなかった。
紫はゴロゴロと、まるで猫のように引っ付いてくる。
固まった体とは逆に、脈動は早まっていく。
「えへへ~、あったかい」
純粋に幼い笑みを浮かべる紫。
まるで別人のような態度に、俺は可愛いという思いが不審より先立ってしまった。
「おい、朝から冗談は止せって…」
回された腕を掴み、半ば強引に引き剥がす。
こんなところを誰かに…具体的には珠に見られたら洒落にならない。
本当に笑えない話だから困る。

「おい、姫の姿が見当たらないぞ」
ノックもなく、乱暴に部屋を開けられる。
悪い予感は、当たる。
「…貴様、一度ならず二度までも姫を誑かすとは」
怒気を孕んだ低い声。
普段はほとんど感情を表さない珠だが、紫のことになると途端に人間らしい表情を見せる。
もちろん目の前のは見せてほしくない類の表情だ。
「ちちちち違うっての!」
俺は慌てて否定するが、彼女に届くとは思えない。
「起きろ紫!説明してやってくれ!」
紫の言葉なら聞いてくれるはずだ。
しかし紫が正気に戻る様子は無く、相変わらずじゃれつくばかりだ。
こんな状況でなかったら嬉しいイベントなのかもしれん。

「僅かでも貴様を信用した私が愚かであった」
珠が腕を懐に入れ、半身を引く。
どこかで見たことのある光景だ。
繰り出されるはおそらく銀の閃き。
「安心しろ。一瞬で送る」
何をどう安心しろと言うのか、まったく意味がわからない。
「姫がお目覚めになる時、貴様はこの世にいない」
口端を吊り上げ、乾いた笑いを俺に向ける。
…殺人鬼だ。
女子供に手を上げるのは心苦しいが、殺される気は毛頭ない。
「…悪いが死ぬ時は戦場で、って決めてるんでな」
今度こそ紫を引き剥がし、巻き込んでしまわぬように距離を置く。
テーブルを挟み、珠と対峙する。
どちらが先に動くか。
ちなみに俺は何も考えていない。
内心結構焦っている。
当然ながら丸腰だ。

『おにーちゃん、どこ?』

ベッドから放たれた声。
記憶の中の声と重なる。
振り向いた先には紫が寂しそうな表情を浮かべていた。
突如、意識の中に『あの夢』が流れ込む。
「なっ…!!」


伸ばされた手。
それは俺の手なのか、誰かの手なのか。
対となって伸ばされる小さな手。
決して、届かない。


脳を限界まで締め上げられるような痛み。
心臓を握り潰されるような苦しみ。
「ぐああああっ!!!」
軋む頭を両腕で抱え、耐え切れず苦悶の悲鳴を上げた。

だがここで倒れてはならない!
冷酷無比なあの女は躊躇せず必殺の一撃を放つだろう。
なんとか迎撃態勢を取るべく足に踏ん張りを利かせる。

しかし全身に力が入らない。
とうとう力尽き、俺は糸の切れた操り人形のようにその場に倒れた。


「…き、きとせぬか!」
聞き覚えのある声。
身体を揺さぶられ、落ちかけた意識が引き上げられる。
目を開けると潤んだ黒瞳がこちらを見下ろしていた。
ふと今までの異常な感覚が嘘のように晴れていく。
軽く痛みを残す額を押さえ、上体を起こす。
「お、起きたみたいだな…おはよう、姫」
紫の頭をぽんぽんと叩く。
彼女は拳を固く握り、両肩を震えさせている。
「うつけもの!」
勢いよく突き飛ばされた俺は机の引出しに頭を打った。
予想以上に紫の力は強かった。
「ってーな、朝から何なんだよ」
「わらわの言葉ぞ!覚めしかば珠と諍いたり、俄かに倒れたり…」
原因を作ったのは誰だろうか、と心の中で呟く。
ふと机の時計に目を向ける。
「ははっ…も、もうこんな時間か、支度しなきゃ」
我ながら誤魔化すのが下手だ。

今度こそ足に力を入れ、起き上がる。
そこで俺はようやく、この空間にもう一人いたことを思い出した。
珠と対峙していたことを忘れていた。
しかし彼女は懐に手を入れたまま、あたかも彫像のように硬直している。
…何かおかしいぞ。
俺を攻撃するチャンスは幾度となくあったはずだ。
それなのに彼女はまったく攻撃してこなかった。
そして今、彼女はフリーズしている。
「なぁ、あいつどうしちまったんだ?」
「わらわも心得難し…珠よ、如何にぞ?」
「…はっ!?」
紫の呼び掛けでようやく動き出す。
すると俺に向ける視線も一瞬のうちに鋭さを取り戻した。
「姫、其奴から離れてくださいませ」
まだやる気か。
再び身構える俺を、紫が制する。
「珠、此奴は潔き者なり」
「しかし其奴は姫を…!」
「事も無し。退け」
「…仰せのままに」
主の命に渋々戦闘体勢を解く。
昨夜とは逆に珠の脇を抜け、階段を駆け下りていく。

「さっきのは一体…」
俺は顔を洗いながら先程の件を回想していた。
今までに感じたことの無い苦痛。
心を締め付ける感覚はどこか切なさを含んでいた気がした。
「…何だったんだ、あれは」

…もちろん答えはない。
ひょっとすると俺は幻覚でも見ていたのか。
もしそうだとしたらどこからどこまでが幻だったのだろう。
あの可愛らしい紫も幻だったのか?
ただ確固として言えるのは、あの痛みは確かに本物だったということ。
そしてこれから学校に行かなくてはならないということ。
俺は濡れた顔を乱暴に拭いた。

「…どうしたの?」
「ん、ちょっと考え事」
最近通学中に考え事をするのが多いと思う。
「あ~、わかった!二人のことでしょ?」
あっさりとすずに見抜かれるのは釈然としない気分だ。
「あぁ、どうすれば元の世界に戻せるのかさっぱり浮かばん」
「そうだねぇ…ワープさせるとか?」
「だからそれをどうやって実現するんだよ…」
ワープなど空間を操作する科学技術は未だに確立されていない。
「うーん難しいなぁ…めんどくさいからこのままでいいんじゃない?」
「冗談は止せよ…」
「そっかー、あたしはいいんだけどなぁ」
「俺は直接被害が出るから困るんだよ」
このままを続けるのはお互いに良くない。
あいつらにはあいつらの生きるべき『時代』がある。
「それより衛慈は来週の再試があるでしょ」
「…そうだよな」
ごもっともです。
自分の問題を処理することが先決だ。


結局学校でも今朝の出来事で頭がいっぱいだった。
教員の話もまったく頭に入らない。
ノートを取る気も起きず、ただ無為に時間が過ぎていくばかりだ。
回答を指名され慌てて答えるものの、正解には至らない。
いつもなら恥ずかしいが、今日についてはそんなことはどうでもよかった。


まるで別人のような紫。
俺を襲ったあの感覚。
「…慈」
そういえばあの夢。
続きはないものとばかり思っていたのだが。
だが夢とは寝ているときに見るものだ。
だとしたらあれは何だったのだろうか。
「…衛慈!」
祐の声で我に返る。
「お、おう、どうした?」
「『どうした?』じゃないよ、僕の話聞いてた?」
目の前でパンをかじりながら祐が怒っている。
「あぁ、えっと…何の話だっけ?」
「もー!やっぱり聞いてないじゃん!」
「悪い」
「衛慈…何かあった?」
「いや、何も…」
「嘘だ!なんか今日の衛慈おかしいもん。言ってみ?おじさんに言ってみ?」
授業開始のチャイムに救われた。


今週の授業もあと一つ。
「頭を使った時は糖分に限るな」
身が入らない俺は、気分転換に飲み物を買いに行った。
紙パックのコーヒーにストローを差し、一人呟く。
とはいえ授業ではまったく頭を使っていなかったかもしれない。
歩きながらストローをすする。
自販機は俺の教室から遠く、一年生の階まで降りないといけない。
「あ、せんぱ~い!」
厄介な奴に出会ってしまった。
こいつと関わると面倒臭い。
目を逸らし、知らないふりをする。 
横を通り過ぎる瞬間、何かが俺の顔に伸びてくるのが見えた。
コーヒーはいつの間にか鴫原の手の中に移っている。
「あたしこれ好きなんですよね~いただきます♪」
みるみるうちにパックが凹んでいく。
「おおおおおい!まだちょっとしか飲んでなかったんだぞ!」
「そんなの知りません~」
満面の笑みを浮かべ、鴫原がパックを俺の手に戻す。
「何だよ、ゴミくらい捨てろよ」
「せめてもの慈悲です、止めは先輩が!」
「もともと俺のだ!」
だからこいつとは関わりたくなかったんだ。
一気に飲み干して空になったパックを握りつぶし、足早に立ち去る。

「ったく、あの馬鹿野郎…」
悪態をつきながらふと思う。
大声を出したことで少しだけすっきりした…気がする。

だが鴫原が厄介な後輩だということは相変わらずのようだ。



第16筆 終
続きますよ。

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