どうも2号ですにゃ。
やっとですが5筆です。
今回もそんなに長くないですが、目を通していただけるとうれしいです。
一つ前はこちらです↓
新ジャンル「京ンデレ」 第4筆
それではどうぞですwww
…ふぅ。
紫の世話をすずに任せ、俺は晩飯を用意した。
正直なところ、飯が食えるような状況ではない。
だが何かしてないと落ち着かない。
この超展開に酔い回されそうだ。
俺たちは3人で晩飯を食べる。
紫も俺の料理を口に運んでくれている。
すずのおかげで少しは落ち着いたようだ。
しかし昔の人の食事なんて考えたことはない。
なんとか古風のイメージを振り絞り、ご飯と味噌汁と焼き魚と煮物を用意した。
まぁ…無難なメニューとなってしまった。
俺の脳ではこのイメージが限界だ。
3人の初めての食事は会話も少ないまま過ぎた。
とかく何を話せばよいかわからない。
そもそも家での食事はいつも一人だ。話す相手もいない。
晩飯を終え、俺とすずは片付けのためにキッチンに向かった。
紫は居間に放置だ。
「ねぇ、あの娘どうするの?」
食器を洗う俺にふきんを持ったすずが話しかけてきた。
「どうするって…追い出すわけにいかないしな。面倒見るしかないだろ」
ここで追い出すほど俺は鬼畜じゃない。
「あれだったらあたしの家で預かろっか?」
すずは気を利かせてくれてるようだ。
確かにすずは俺より面倒見がいい。
何より女同士だ。いろいろやりやすいだろう。
だがこの娘を引き取ると、おばさんたちの手も煩わせてしまうことになる。
それはさすがに申し訳ない。
俺はもう…おばさんたちに迷惑をかけたくない。
「いや…いいって。それにおまえの家空き部屋ないだろ?」
「そうだけど…いろいろ教えるの大変でしょ?」
忘れていた。
この娘は現代の人間じゃない。
俺たちの『当たり前』が通用しない。
実際、先程から辺りを見回しては不思議そうな表情をしている。
どれもこれも初めて見るものばかりなんだろう。
「まぁ…何とかする。俺ができないところを手伝ってくれないか?」
「うん!任せてよ☆」
「じゃぁあいつに話してくるから」
そう言って俺は居間に向かった。
「おい…ちょっといいか?」
テレビを凝視している紫に声を掛けた。
「これはいったい何じゃ?なぜ人間がこの箱に写っているのじゃ?」
紫がテレビを指差しながら尋ねてくる。
ちょっとだけ…からかってみるか。
さっき遊び損ねたしな。
「あー…この箱には人が住んでるんだよ」
「な、なんと?!なぜこのような狭いところに?」
紫はテレビに映っている人に話しかけ始めた。
「おい!貴様聞いてるのか?」
とうとう紫はテレビを揺すり始めた。
テレビを初めて見た人々の反応もこんな感じだったんだろうか。
これはひどい。笑いを堪えきれない。
そうだ。からかうあまり本題を忘れていた。
「なぁ、おまえが元の時代に帰る方法探してやるよ。だからそれまでうちにいるか?」
「そ、それはまことか?」
紫が急に目を輝かせてこっちを振り向いた。
「あぁ…他に行くあてもないんだろ」
「べ、別にわらわのことなど心配しなくてもよいのに…」
こっちも別に心配してるわけではないんだが。
「さっきまで大泣きしてたやつが強がんなよ」
俺は紫の頭を無造作に撫で回した。
「黙れ!泣いてなどおらぬ!」
怒りの紫はその小さな手で俺を振り払おうとする。
こいつはからかい甲斐があるな。
「衛慈…こんなちっちゃい子相手に大人気ないよ」
いつの間にか食器を片付け終えたすずが背後で呆れている。
「小さくなどない!わらわはもう大人の女じゃ!」
すずの言葉に紫が過敏に反応した。
どう見ても子供です本当にありがとうございました。
「はいはい大人大人」
こんな戯言は聞いてられない。俺は流すことに決めた。
これが大人の対応ってやつだ。
「人の話を聞け!!」
もうめんどくさい。
「あー、わかったわかった。話なら風呂入った後なんぼでも聞いてやるよ」
なんか疲れた。風呂にでも入って気分を変えたい。
時間的にもいつも風呂入る時間だしな。
「ねぇ衛慈?この子お風呂使えるのかな?」
すずが不安そうな表情で聞いてきた。
「あ…そうだった。まずいな…一緒に入るわけにもいかんし」
さすがに無理。俺は一緒になんて入らんぞ。
犯罪になる。
「だから子供扱いするな!風呂なぞ一人でも入れる」
「まぁまぁそう言わずに、紫ちゃん一緒に入ろっ?」
すずが紫を風呂に誘った。
こいつ…こんなに気が利く奴だっけ?
「ふぬぅ…ま、まぁお主がそう言うのなら仕方ないのぅ」
「というわけで、あたしも入っていいかな?」
「あ、あぁ…別にいいが…」
むしろそうしてもらえると大いにありがたい。
「それじゃぁ着替え持ってくるからちょっとだけ待っててね?」
すずはそう言って自分の家に一旦帰った。
第5筆 終わり
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