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HN:
ジュナー1号&2号
性別:
非公開
自己紹介:
【2号】
殉教者。
マンガとアニメが好物。
「三次元の女には興味ありません」と強がる。
小さい子が好みであることは誇り
活動資金をどうするかが悩み


【1号】
変人。
創作、編集。
2ちゃんねるスレッドまとめはリンク先のブログに移転しました。


御意見等ありましたらこちらまで
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間に合ったー!

お久ししぶりです。
8月以来?になりますwww
仕事で悩んだり人生で悩んだりしてました。
ときどきもがいて、ときどき諦めたりな日々でした。

でもちょくちょく足を運んでくださる方が今励みです。
来年こそは生活を安定させてもっと更新できるよう、精進していきたいと思いますwwww
では年内最後となる12筆を。

めりくり。
皆様良いお年を。
わたしはこれから初日の出に連行されますwwworz

第1筆はこちら




第12筆



「ったく、なんで今日に限っていねぇんだよ…」
足取りは重く、文句が口から漏れる。
寸前で心細くなった臆病者は道連れを考えた。
携帯取り出しダイヤル数回。
その策は数分と持たぬ間に瓦解した。
普段は起こさなければ寝っ放しのくせに、どうしてこう肝心な時に限っていないのだろうか。

平安でも都でもない普通の街。
そして、すぎるほどに仰々しい格好の紫。
出会った時よりは軽装であるが、やはり根本的に異質だ。
街行く人々の視線が痛いほど背中に刺さる。
良く晴れた穏やかな日曜日の午後。
家族連れやアベックで溢れ返る時間だ。
「引きこもりたい…」
肩を落とし大きく溜め息をつく。
知り合いに遭遇するイベントだけは避けたい。
選択肢はまだか。

大町通り。
何処にでもある名前のその通りには、小規模な店舗がいくつか軒を並べている。
以前はこの界隈では最も活気があったようだが、それはもう過去の話だ。
数年前に郊外に作られた大型商業施設に客が流れ、今では寂れた雰囲気を隠せない。
現代の日本では珍しくもない、これまた何処でも見られる光景だ。
俺だって流れていった人間の一人である。

「や、あは何ぞ?」
先程から何度この疑問文を耳にしているだろうか。
紫からの質問責めに遭い、歩いているだけにもかかわらず既にヘトヘトだ。
わからないのではない。
言語化に苦悩しているのだ。
彼女が理解できる説明をするのはいささか難しい。
簡単な勉強をするよりずっと頭を使う。

『殺し屋』珠は家を出たと同時に姿を消した。
辺りを見回しても彼女らしき姿は見当たらない。
遠くから追ってきているのか、それとも完全に別行動なのか。

「む…然れども都とは随分有様が違うの」
辺りを見回しながら紫が呟く。
「そりゃそうだ。場所はおろか時代も違うわけだし」
「然れど民の見様もまた奇怪じゃのう」
「お前が言うなよ…」
…鏡を見ろ。
現代人代表としてその言葉、そっくり返してやる。
もちろん俺も平安装束…なわけがない。
パーカーにGパンといったありきたりな格好だ、たぶん。
「さて、どこに行きたいんだ?」
唐突に外出の目的を切り出した。
こんな羞恥プレイにいつまでも付き合ってられん。
早々に目的を果たしておうち帰りたい。
勢いで出てきたものの、行き先など決めていたわけがない。
今は向かう先もなく漫然と歩いているだけだ。

さてどんな答えが返ってくるのだろうか。
「む、そうじゃのぅ…」
紫が言い淀み、何かを考えている。
さてはこいつ…。

やがて彼女の口から出てきたのは衝撃的な一言だった。
「楽しき所がよきかな」
ぶん投げた。
これはある意味、行きたいところがないと言ってるようなもんじゃないか。
「おま…」
思わず嗚咽が漏れた。
常に享楽を求めているわけじゃないし、人を連れ立って行くような場所など俺には無い。
一緒に出掛けるのはすずか祐くらいだ。
それもスーパーや本屋といった、誰でも行くような場所ばかりだ。
特別に面白い所でもない。
俺はそれで十分なんだ。

「や、わらわはあまり心得難し。何処でもよきに」
…最初に言えよ。

めんどいからいつも通りの買い物でいいや。
楽しませる気?そんなもの持ち合わせてありゃせん。

紫の格好に幾分慣れてきた。
実際は周囲の視線を気にしなくなってきたからだと思うが。
気にしたら負けだ。
とりあえず今日を耐えればいい。
帰ったらすずに服を借りよう。
いや俺が着るんじゃない。
そんな趣味は無い。

歩道を歩く俺たちの横を、自転車が通り過ぎる。
休みの日も部活とは、熱心なものだ。
ま、俺に部活は縁遠きかな。
嫌いなわけじゃない。
時間を割くほど興味をそそるものがないのだ。

あと、俺は群れが苦手だ。

「うげ、そういえば…」
思い出したようにGパンのポケットから財布を取り出し、中を覗く。
見るまでもなく手に伝わるその重さが、中の状況を物語っていた。
「今月そんなに使ったか…?」
つい先日までは温かい懐だったが、今はその陰もない。
はらり。
零れ、舞い落ちる紙切れは無常にも感熱紙だった。
しかし今月はそれほど激しい出費はしていないはず。
小出しに取り崩す癖はなかなか直らないものだ。
今日は日曜、銀行は休み。

結局最初に入ったのは現代ではごくありふれた場所だった。


ウィーン
「ややや?!誰が居ずとも勝手に開きしかぞ!!」
自動ドアの前で紫が声を上げて大騒ぎする。
予想以上の反応で人々の視線を一挙に集めてしまった。
それは紫の格好によって更に奇異の念が込められる。
「馬っ鹿、大声出すな」
俺がものすごく恥ずかしい。
「ほら、邪魔になるから入るぞ」
未だおろおろする彼女の手を引き、足早に店内へと進入する。
コンビニの進化は目覚しい。
レジの横にあるATMに立ち、素早く端末を操作する。
いつも並んでいるイメージからだろうか。
ATMは出来るだけ素早く操作し、早くどけるように習慣づいている。
もっとも、今はこの居たたまれない空気から逃げることが先んじているようだ。
暖房のせいか、それとも恥ずかしいのかじっとりと汗をかいてきた。

今月は倹約しよう。
そう心に言い聞かせ、諭吉を財布に突っ込んだ。
店員さん、ごめんなさい。
何も買わずに出てってごめんなさい。
今度はちゃんと買ってきますから今日はこの辺で勘弁してください。
これまた足早に店を後にした。


「ったく…あんな大声で騒いだら目立つだろ」
「詮無きこと、勝手に開くとは知らぬ」
ぷい、紫は顔を背け拗ねてしまった。
あんなに恥ずかしい思いをしたのは久しぶりだ。
未だに熱が引けない。
しかし少し言い過ぎたかもしれん。
こいつにとっては見るもの全てが新鮮なのだ。
子供がいろんなものを初めて見るに等しい。
紫を責めた俺は自分の矮小さを垣間見た。
これじゃどっちが子供かわからんじゃないか。
「ま、金もおろしたし、必要なものは揃えられるな」
ぽん、と紫の小さな頭に手をやる。
物で機嫌取りなど、俺は存外浅薄な思考の持ち主なのか。
「ふん、物でわらわを釣ろうなぞ無駄じゃ」
だが俺の気遣いは無視された。
紫は顔を背け、目を合わせようとしない。
「そうかい。んじゃ俺が欲しい物だけ買って帰るか」
心を広く構えたことを後悔した。
俺は正面を向き直し、少しばかり早足になる。
さっさと目的を遂行して帰ろう。

早めた足取りが何者かによって制される。
気付けば上着の裾が引っ張られていた。
「此度は釣られてやろうぞ」
素直にそう言えよ…。
再び肩を落とし、溜め息をつく。
何故だろう。
そんな態度の彼女に俺は、憤るのではなく安堵した。


しかし冷蔵庫は見事なまでに空だった。
もう一度確認したが、やはり食材になりそうなものは皆無だった。
余り物をいくらか冷凍しておいたはずだが、庫内は霜だけが残されていた。
おそらくは珠が使ったとは思うが、一両日で使い切る量ではなかったはず。
俺が寝ている間に一体何をしたのか…。

「う”っ、寒ひっ」
落ち着いたせいか、先程の汗が冷えて寒い。


目的地であるスーパーマーケットに到着した。
客足は常に止まず、この界隈に住む人間の台所と言っても過言ではないだろう。
「なぁ、何か食いたいものあるk…って」
振り向けばそこに紫の姿はなかった。
「ったく…ガキじゃねぇかよ」
目を離すとすぐいなくなりやがる。
そういうところが子供なんだよ…。
辺りを見回すと、やけに仰々しい格好の子供がお菓子売り場で屈んでいた。
後ろから近づき、上から覗き込む。
「どうした?何かあったか?」
彼女が手にしていたものは、プレッツェルがチョコレートでコーティングされた、いわゆる○ッキーってやつだ。
「こが食べたいぞ!」
紫は目を輝かせ、ねだってくる。
「ん、まぁ…いっか。そんなに高くないし」
そう言って箱を買い物カゴに放り込む。
束の間、紫はいつの間にか俺の前からいなくなっていた。
ふと見るとこちらに紫が何かを抱えて駆けてくる。
彼女の腕に抱えられてきたものは、赤身ではないマグロの切り落としだ。
「こもじゃ!」
紫はそれを勢い良く放り込もうとする。
体を捻り、断固としてカゴに投入されるのを拒んだ。
「高ぇっつの!」
まさに無駄というか浪費の極みである。
刺身で4ケタなどもっての外である。
「不用なのか?」
こればかりは上目遣いされても承るわけにはいかない。
何でもかんでも買い与えてはロクな子に育たん。
「もちろん。何でこんな高いもん見つけてくるんだよ」
「むぅ…」
残念そうな表情を浮かべ、手の中のパックに目を落とす。
だが今日は非情にならねばいかん。
「そーのうち、な」
いつになるかわからんが。
その前にこいつをどうにかして平安に送り返さねば…。
とりあえず今はこの刺身を丁重に生鮮売り場に送り返してこよう。


割と詰め込まれたレジ袋を両手に提げ、来た道を帰る。
こんなに買い物をしたのは久しぶりだ。
チェーン店ほど店舗の規模は大きくないが、品揃えは至って遜色ない。
価格もそれに劣らないことが、根強い支持を得ているのだろう。
「あ」
しまった。
買い忘れをしてきてしまった。
「悪い、ちょっと待っててくれ」
「な、待て」
「いや、すぐ戻るから。ここでじっとしててくれ、な?」
そう言って俺は紫に荷物を預け、店内に駆け戻った。


「はー、ったく油が無かったら料理できねぇだろうよ…」
追加ミッションを達成した俺は、紫を待たせたはずの場所へと戻る。

いない。
紫がいない。
辺りを見回すが、今度は見つからない。
途端に拍動が早まり、強い虚脱感が全身を襲う。
だが萎れてはいられない。
紫にもしものことがあったら俺が珠に殺される。
どこから監視されているかもわからんのだ。
とにかく探さなくては!


「えーじっ!」
紫を探し駆け回っていると、遠くから聞き慣れた声がした。
振り向くと、すずがこちらに向かってくるのが見えた。
「ここにいたんだねぇ」
「たたたた大変なんだ紫が買い物で油が買い忘れたら特売で安かったんだよ!」
息は乱れ、日本語が残念なことになってしまった。
それほど今の俺は動揺している。
「落ち着きなよ」
「とにかく紫がいないんだ!」
今はすずを構ってる場合じゃない。

「む?何ぞありしか?」
すずの後ろから声がした。
ひょっこり、小さな頭が出てきた。

「どこ行ってたんだよ?!」
紫に駆け寄り、両手を肩に置いて声を荒げた。
「わらわは此奴とおったぞ」
「あのね、紫ちゃんが一人で荷物持ってたからあれだなーと思って」
どうやらすずが保護してくれていたようだ。
その両手には見覚えのあるレジ袋。
俺は安堵し、大きく息をついた。
ぽかっ。
後ろから頭を小突かれる。
「こんなところで一人にしちゃ危ないでしょ?」
口をへの字にし、すずが怒っていた。
まったくその通りだ。
今回ばかりは全て俺が悪い。それは本当だ。


「…ごめんな」
自分より小さい相手に頭を垂れ、謝る。
「別にわらわは一人でも待てたがの、此奴が是非と言うのでな」
そうは言うものの、その目はうっすらと充血していた。
やはり寂しい思いをさせてしまったみたいだ。
「おぬしよ」
「ん?」
「わらわは腹が減ったぞ」
…は?

「減ったぞ減ったぞ!何かもてなし給え」
これでこそだ。
横暴ぶりもたまには役に立つんだな。
「よっし帰ってメシにするか!」
両手で荷物を掴み、勢い良く立ち上がる。
少しばかり元気が出た。
「あたしも食べに行くー!」
「おうよ!」
今日はいろいろ振舞おう。
紫には償いを、すずには感謝を。
俺にはこれくらいしかできないから。

紫を真ん中にして並んで歩く。
遠くの空に陽が落ちて、街が茜に色づく。
いつもと変わらないだろう夕陽。
明日も晴れるだろうか。
そんな、休日の夕暮れ。

そういえば珠を忘れていた。
紫の護衛じゃなかったのか。

「ま、いっか」


第12筆 終
続きます。

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