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HN:
ジュナー1号&2号
性別:
非公開
自己紹介:
【2号】
殉教者。
マンガとアニメが好物。
「三次元の女には興味ありません」と強がる。
小さい子が好みであることは誇り
活動資金をどうするかが悩み


【1号】
変人。
創作、編集。
2ちゃんねるスレッドまとめはリンク先のブログに移転しました。


御意見等ありましたらこちらまで
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やっと10筆ですーwww
って気づいたらもう7月終わりですかそうですかwww

あ、ちなみに今回で第1章は終わりなのです。

第1筆はこちら

 

簪…手の平ほどの髪飾り。
だがそれは確かに犬の胴体へ深々と突き刺さっている。
完全に沈黙している…死んでしまったのだろうか。
簪で殺す、こんなことをできる人間がいるのか。
俺は簪が飛んできた方向、後ろを振り向いた。

そこには人影が一つ。

投げたのはこいつだろうか。
というか女なのか?
後ろの沈みかけた夕陽が眩しい。

「…れろ」
彼女が何か呟いた。
遠くてよく聞こえない。


「姫から離れろっ!!!」


『姫』だと?
…誰が?
辺りを見回すが、それらしき人はいない。
だいたい姫って何だよ。
今の世の中、姫なんてのはブスが無理矢理周りに言わせてるくらいだろ。
どっちかっつーと魔女だろ…鏡に話しかけて絶望するオチの。

ってそんなことはどうでもいい。
俺は声の先へと視線を戻した。
そこには…もう誰もいない。
そう、『そこには』いなかった。


眼前に迫る人影。
背後から聞こえる少女の声。
何と言ったかはわからない。
女は僅かに反応したが、攻撃の勢いは殺せなかった。


一瞬の銀閃。
全身を打つ激しい衝撃。
脇腹を突き抜ける激痛。
何が起きたのか、すぐ理解できた。

簪が引き抜かれ、紅線が空に描かれる。
「ガハッっ!!!」
痛みに声が漏れ出てしまう。
じわりと滲み出す血。

膝をつき、その場に倒れ伏す。
砂利で顔が痛い。

「これが毒ってやつか…」
あの犬と同じ自分が無様だ。
こんなときに自嘲とは随分余裕なものだ。
っておい野良犬、本当に死んじまったのか…?
たとえ嫌いな動物でも目の前で死なれるのは見たくない。

誰かの靴音が聞こえる。
…すずだ。

マズい!
ここは危険だ。
視界の隅で何かが動く気配を感じた。

「来るな!!」
出せ得る限りの声で叫ぶ。
力を搾り出し手を伸ばす。
この女を止めなくてはすずが…。

「やめ、ろ…」
己が手の短きことを恨む。
○ム○ムの実を食っていれば引き止められたかもしれない。
海とか行かないから副作用で泳げなくても構わん。
あー、でも一度くらい女と海に行ってみたかったなぁ…。

だが俺の手は何も掴むことなく虚空に泳ぐ。
犬…立ってあの女に噛み付け!
一歯報いろ!

誰でもいい。
すずを助けてくれ!


動く気配が一つになった。
もちろん犬ではない。
俺は耐えられず、目を伏せる。
無力な自分が悔しい。

足音が再び近づいてくる。
…止めを刺すつもりか。
もう動けないので抵抗もままならない。
俺の目の前で足が止まる。
『死』を感じた。
こんな理不尽な形で人生が終わるとは…。


鈍くなった感覚に伝わる感触。
優しげで、いつも傍で感じていた温もり。


目を開けると見慣れた顔がそこにある。
すずは…無事だった。

ぼんやりと意識が遠くなっていく。
すずの言葉がよくわからない。
聞こえてはいるが…頭が回らず理解できない。
ただ俺は自分の状況を忘れ、すずが生きていることに安堵した。
あぁ、魂が肉体を離れていく…。

女と少女の姿が視界の隅に映る。
おまえだったのか…。


「あ、やっぱ死にたくねぇな…」
消えていく意識の中で呟いた、最後の言葉だった。



第10筆 終
続いてしまう。

 

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